逆行の効力 総論


 逆行の効力について,吉となるか凶となるか,争いがある。

 

 

【デフォー②271頁】

吉凶に関係なく強くなる

 

【フローリー⑤151頁】

吉星は吉意を失い,凶星は凶意が増し,予想不可能になるのが一般的としつつ,後記のような事例も挙げている。

 

【チャラクc26の70頁】

予期せぬ結果を引き起こし,概して健康にはよくない,とだけ書いてある。

 

 【ラオ㉘の55頁】

不安定であるといわれているが、安易に結論を出すべきではない。「吉星が逆行する場合、生来的吉星としての力を失います。特に凶星によってアスペクトされている場合(140頁)。

 

 【メータ③319頁】

ダシャー分析の文脈で、「在住室及び支配室に欠乏をもたらす。コンジャクトまたはアスペクトする星の効力を強める」としつつ、「吉星の逆行は、星の効力を強め王国の獲得をもたらす。凶星が逆行すれば、悲しみと目的のない彷徨いが生ずる」とするサラバリを引用逆行惑星のダシャーは非生産的な結果になる、トランジット分析の文脈で吉星の逆行による良い部屋へのトランジットは部屋の象意を強め悪い部屋の凶意を減少させる」との記述もある(同300、328頁)。

 

【シンc20の23頁】

ダシャー分析の文脈で、「逆行ダシャー中,名声と幸福が傷つけられる」「一般的に,逆行惑星在住室及び支配室の象意に困難をもたらす。逆行惑星は,コンジャクトまたはアスペクト先の惑星の影響を増加させる」とある。上記サラバリも引用。

 

 

【BPHS】

(1)吉星が6,8,12で逆行し凶星のアスペクトがあると出生後1月以内に死亡(9章3-6)

(2)逆行するとシャドバラ上,高得点。60点加算(27章21-23)

(3)ダシャーの発現順序が逆になる(47章3-4。星座の0-10度に位置していればダシャー前半,11-20度なら中盤,21-30度なら後半に発現が基本だが,その順序が逆になる)

(4)女性のホロスコープにおいて,月または(原文では「及び」かもしれない)ラグナがパーパカルタリヨガ(凶星が12室在住,逆行する凶星が2室在住)の場合,その女性は彼女の夫の家族及び彼女の父親の家族を壊すことが懸念される(80章42)

 

 

  

 〇ナーディ占星術〇

後ろの部屋にも在住して,そこからアスペクトやコンジャクトが判断される。事後的な移動を表す。

 

【R.G.Rao n12の27頁】

後ろの星座へのアスペクトの強さは1/2。ただし,その後の事例をみると半分であることがリーディングにとりこまれている様子は全くない。

 

・逆行の効力は,人生後半で経験される。ただし,土星が絡むと,逆行後の効力が人生前半,逆行前の効力が人生後半に発揮される。木星がさらに絡むとそれがキャンセルされる。

 

【私見】

通常ではない方向へ向かわせる+ちょっと強くなる,ということで,ほぼ争いはないと思われる。なお,後記の逆行の確率論からしても,必ずしも「悪い」影響はではないと思われる。

なお,逆行は,シャドバラ上で既に惑星の強度が加算されているため,シャドバラを参照しつつさらに「逆行は強い」とすると,二重評価である。

 

逆行の効力 各論


 

【フローリー⑤151頁】

惑星のエネルギーが内向きになり,水星逆行なら歴史やオカルトに興味をもつ,凶星の影響があれば神経質,コミュ障,寡黙になる

 

【ゴエル㉔78頁】

逆行する火星または金星にラーフの影響があると,アブノーマルな性的欲求をかかえる

 

【メータ③】

火星が逆行し,かつ減衰または凶星のアスペがあると結婚に問題が生ずる(123頁)。

吉星が逆行していると晩婚の傾向(同書131頁)。

11L土星が7Hで逆行している場合,その女性は再婚する(134頁)。

 

【ラルワニc268頁】

火星:フィジカル弱くなる、慎重になる、良い医者や科学者になれる

水星:潜在意識がアクティブになり創作や発明に良い。

木星:期待していなかった成功をもたらす。他人が失敗しているところや場所で働き始め、成功する。

金星:シャイになり、冷たくなりがち。社会に適合しにくい。深く愛するがうまくいかない。

土星:自分を責めがち、悲観的になりやすい。内向的、不安症、運命論者

高揚星座後、自室後の逆行は強くなる(自室等に戻ろうとするため)、逆も然りとも書かれている

 

 

【ブラハ㉓96頁以降】

逆行は、決して凶ではなく、エネルギーが潜在化したり内向きになったりして発現が遅れ、発現するかどうか自由意志を行使する余地が生まれる、という。

3L逆行:例えば音楽の才能があっても、30才ころ以降になるまでは趣味として楽しむにとどまる、高望みしない

5L逆行:子供を持てなくなるのではなく、持たない選択肢を排除しない

7L逆行:結婚の必要性を感じない、或いは一回結婚と離婚をして再婚の必要性を感じない

1L逆行:内向きになり名声を得ようとしない

4L逆行:不動産を得るチャンスが減る

9L逆行:旅行しようとしない、宗教や哲学を趣味にとどめ職業にしない

10L逆行:職業を選び実現するのが遅れる

11L逆行:友人やグループの人生における優先度が低い、結果の達成が遅れる

凶星逆行:凶意が2割ほどマイルドになる

逆行惑星のアスペクト:例えば逆行する14度の土星が10度の木星にアスペクトしている場合、よりタイトにアスペクトしようとするため傷が大きくなる。逆もありうる。

金星逆行:愛情に気づいたり実感するのが人生後半になる

木星逆行:人生の後半で、宗教や哲学を学ぶ

 

 

【私見】

・土星と木星は1年に3-4か月逆行

・水星は1年に2か月逆行

・火星と金星は2-3年に3か月くらい逆行

 

なので,確率的には,木星と土星の逆行は強くよむ必要はないと思われる。逆に,火星と金星の逆行はレアなので,それなりにアクセントをつける必要があるか。

効果は,概ね,内向化,潜在化というあたりで,凶星の影響があれば犯罪等に走るようである。